一条工務店i-smileで家を建てる (4) 家のライフサイクルコストとローン

この記事の続きです.

家のメンテナンスコストが算出できたので,家にかかるトータルのコスト=ライフサイクルコストを計算していきます.

早速ですが計算例をここに提示します.私は家についてはこういったExcelシートを作成してコスト見積もりをしていました.
ちなみに,数値は見てわかる通り,建物が税込み2500万,土地が2500万となるよう適当に入力した結果です.個々の数値も近い数字になっているとは思いますが正確かどうか怪しい部分もあるざっくり計算ですので参考程度にしてください.

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ライフサイクルコストは大きく分けて7つの費用区分で計算しています.

1. 建築費

建物にかかる費用です.建物価格とオプション費用,太陽光発電費用が建物本体費用として掛かります.ハウスメーカーの方はこの見積もりはしっかり出してくれますので,それを別途記録しておいたほうがいいです.また,外構の工事も必要です.これは土地面積と内容によって変わってきます.さらに,エアコン,テレビアンテナ,カーテンなど設備設置工事費用が別途必要になってきます.

2. 土地費用

これはそのまま土地の費用です.1ででてきた外構費用や,3で出てくる取得にかかるもろもろの費用,既存建物がある場合の解体費用,地盤調査費などは含みません.

土地費用は,だいたい土地の売買契約時に手付金という形で一部を支払い,残りは引き渡し日に支払うことになります.ローンを組む場合は引き渡し日にローン実行→支払いとなりますので,手付金は頭金として持っていないといけません.

3. 諸費用

土地取得にかかる費用のほか,建物建設にかかる諸費用が該当します.土地取得に際しては,不動産会社への仲介手数料,登記費用(登録免許税,印紙税司法書士の先生への報酬),固定資産税・都市計画税清算金(年の初めの保有者に1年分かかる税金なので,年の途中に引き渡しする際に1年の残りの期間の分を支払う),不動産取得税などがかかってきます.

仲介手数料・登記費用・清算金は引き渡しの時点でかかります.不動産取得税は引き渡しから時間がたってから税務署から請求があります.不動産取得税は軽減措置がありますし,神奈川県限定かもしれませんが土地取得から建物新築まで期間がある場合は申請すれば徴収を猶予できる制度があります.

また,土地に既存建物があれば解体費用が必要です.建物建設には地盤調査のほか,建物の登記,水道・都市ガスを市の配管に接続する工事,火災保険なども必要です.設計報酬などが別途かかるかどうかはメーカーに依存する気がします.

火災保険・地震保険は内容・期間によって金額が変わってきます.ここでは建物を建てる時点で10年分支払うと仮定し,残りの期間は保守費でかかるとしています.

4. ローン費用

1~3にかかった費用のうち頭金分を除いた分(ここでは住宅ローン減税のMAX値5000万と仮定)を借り入れた際のローン費用を試算します.土地を購入して注文住宅を建てようとすると,土地,建物それぞれの支払い(引き渡し)の期間が開くので,別個にローンを組む必要があります.ここでは諸費用はすべて頭金としていますが,諸費用も借り入れたいならそれも別ローンになります.(外構を建物と一緒にしてしまっていますが外構も別個だったと思います.)

もし金融機関が土地と建物など分けて融資してくれない場合は「つなぎ融資」を使い,土地の入手から建物完成までの費用をつないでもらう必要があります.つなぎ融資は対応してくれる金融機関が限られるほか,短期間であるため利率が高く設定されていることが多いので,使わないで済むならそれに越したことはないです.

一条工務店だと,建物だけでも契約金,着手金,上棟金,最終金と4回に分けて支払いが発生しますので,土地/建物分けて融資してくれる場合にも建物側につなぎ融資が必要となることが多いです.一条工務店の営業さんが金融機関を紹介してくれますが,他の金融機関同様につなぎ融資は金利が高いので,つなぐ場合はつなぎ融資費用も考慮が必要です.

また,借入額はローン会社にもよりますが土地費用・建物費用・諸費用それぞれをMAXとして審査・借り入れができるので,審査さえ下りれば費用全部をローンとすることはできます.しかし借入額が大きくなるほど,よほど収入が多くて安定している職業でないと,自己資金比率を高くしないと満額通すのは難しいのではないかと思いますし,多少なりとも頭金を入れるくらいの貯金ができていないとその後のローン支払いが厳しいと思うので,ある程度頭金は入れたほうがいいです.

ローンにかかる費用には,大きく金利と事務手数料,団体信用生命保険料,付加保険料がかかります.この辺は金融機関や金利条件(固定金利・変動金利など)に依存して異なるので調べる必要があります.

5. その他費用

そのほか新築時の費用として,仮住まい費用(建物が建ってからすぐ入居できない場合)や引っ越し費用が掛かります.さらに新築建物には棚や家具など家財を新規に購入する必要もあるでしょう.近隣挨拶,インターネット引き込み工事なども必要です.

6. 保守費

ここでは前回記事で試算した60年分の修繕費と税金のほか,最初10年以降の期間の火災・地震保険を考慮します.税金は固定資産税と都市計画税になります.その時の評価額で変わってくるのと軽減措置があるので変動します.

60年分となるとこれらの費用もバカになりません.60年間で2290万円かかると記載していますが,これを60年×12か月で割ると一か月あたり3万2千円ほどになります.家の維持費は3-4万円,といわれることが多いですが,やはりそのくらいの金額はかかってくることを見込むべきです.

7. 費用削減分

前回試算した光熱費削減分とPV売電収入のほか,住宅ローン減税で減税される見込み金額を記載しています.そのほかにもすまい給付金などの補助金などあれば積極的に調査・申し込みをしたほうが良いです.これによって家のライフサイクルコストを抑えることができます.


これらを足し合わせると家のライフサイクルコストが算出できます.今回は家2500万(外構を余計に含めてしまったので2335万)+土地2500万=4835万円の家の例ですが,ライフサイクルで見るとざっくり計算でも8730万円と倍近いコストがかかるのがわかります.さらに(ローンを土地・建物のみとする場合でいうと),土地手付金・別途工事費・諸費用・ローン費用・その他費用である700~800万ほどを頭金として用意しておく必要もわかります.これは4835万の約15%になります.これを用意しない場合はさらにローンの費用が掛かります.

家の購入となると住宅ローンの毎月支払額をみて支払い可能か確認させたり,年収から目安金額を計算するものが多いのですが,税金・修繕費も含めたライフサイクル全体のコストとしてどの程度かかるか確認することが必要だと思います.

次はこの結果を用いてライフプランシミュレーションをし,支払い可能か確認します.

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