子供への早期英語教育の必要性

最近,2歳になる子供に英語を習わせるか悩んでいます.

個人的には,以下の点から英語を早くから習わせたいとは思っています.
・今後,日本の人口は減る一方であり,英語(あるいは中国語)を話せることが働く上で有利になる
・英語の能力向上には,英語に触れる時間を増やすことが必要である
一方で,「早い頃から英語を学習すると,日本語も英語も中途半端になってしまう」という言説をよく聞きます.これが早期の英語学習を躊躇する主要因です.これを「セミリンガル」と呼ぶようです.

私自身は,英語学習のスタートは小学校でしたが,本腰を入れ始めたのは大学4年のホームステイ経験以降であり,ある程度日本語での認知能力などが発達してからでした.
そのため,日本語でちゃんと考えられる基礎があるうえで英語を使うことができており,早すぎると中途半端になってしまうのかもな,と思うところはあります.反面,英語学習時間が不足しているために苦労しており,早期に英語学習できたほうが良いのではないかとも思います.



少し検索すると,以下のようなページが出てきます.

引用する論文も多く,医者が監修をしているようで,情報にある程度信頼性はありそうです.
・2言語学習すると1言語の場合より劣るという先行研究があるが,政治的な要因で研究されたものが多い.
・比較方法によっては同等の能力であり劣ることはなく,早期英語教育を妨げるものではない
という趣旨のことが書かれています.

一方で,
・片方の言語だけで比較するとあるテストで劣ることがあるのは確か
・片方の言語での語彙量が少なくなるのも確か
・語彙以外(音声,文法,認知・思考)については明示されていない
といった疑問があります.また,根拠論文がグローバルなのはいいことですが,日本語以外を母語とした場合が多く,日本語の場合との差異について触れられていないことも気になります.



論者は大学の先生です.この記事では,BICS(日常会話・言語能力)とCALP(認知能力)を分けています.2言語でBICSが獲得できてもCALPが不十分であることがセミリンガルと定義しています.
2言語でCALPが獲得できるのは世界でも数%未満であり,それを目指して結局セミリンガルとなってしまうようなことは避け,片方の言語でCALPを獲得するほうが良いと語っています.この説明には納得感があります.

一方で,ある程度成長するまでに英語に接すると,クリエイティビティや発想力を発揮できたり,1つの物事を多面的に見る発想ができるようになるなど,利点も語っています.

英語早期教育による英語への忌避感の除去やBICS獲得は図るほうがいいものの,主となる言語でのCALP獲得をするよう十分気をつけないといけない,と私は読み取りました.


このページでは,セミリンガルに加え,アイデンティティ,常識,親から子への押し付けというデメリットがあると語っています.
「英語を子どもに教えるな」という本の引用が多く根拠に欠けますが,以下あたりは結構示唆的です.
子どもをバイリンガルに育てることに成功した親が必ず強調することは、親が子どもに対して使う言語を一つに定めることである。アメリカでは、日本語を使う機会は、家庭に限定されるわけだから、親は徹底して日本語で子どもに話しかけるべきである。英会話の練習台として、子どもと英語で話す親が見受けられたが、親の不完全な英語は、子どもに悪影響を及ぼすだけである。
(中略)
彼(健一郎君)が、英語を使った時は、「えっ?何て言ったの?お母さんわからない」ととぼけて、日本語では何というかを考えさせるように仕向けた。
家庭でも英語を使うといった中途半端な対応はせず,家庭では日本語,それ以外では英語のような切り分けをして,それぞれの学習時間と質をきちんと確保することで,セミリンガルとなるリスクを排除することが必要なようです.

(この本,結構評価が高いので,読んでみようと思います.)





こちらもnoteの記事であり,さらに信頼性は下がりますが,バイリンガル当事者の経験談です.

英語と日本語を混ぜて話す「Code Switching」が良くない,特に文中コードスイッチング(ある言語で話している際に,単語だけを別言語にして話す)が厄介だと言っています.楽な方の言語を拾って使ってしまうことで,1つの言語で思考・伝える能力が低下し,英語・日本語いずれも能力が不足するパターンがあるようです.

このパターンも,上述の本と同様に,親が日本語を学習させる努力を怠ったりすることがセミリンガルになるリスクとなり,それを排除するために,日本語を正しく話す環境を家庭で確保するルールが必要だと言っています.



どうするのが最もいいか,という結論には至りませんでした.ただ,結局のところ英語も道具でありうまく使えるようにするのは必要ですが,それはそれとして子供の認知や思考能力を高める努力は継続して行わなければならないようです.
まあまだ時間はあるので,どうするかはもう少し悩んでみようと思います.