【一条工務店】i-smileとi-smartの光熱費差の試算

私は一条工務店i-smileで家を建てました。当然ながら一条工務店のi-smartなどの他の商品との比較もしましたが、当時簡易に計算した結果、価格差を考えるとペイしないと思い、i-smileを選択しました。

ここではもう少しちゃんと、i-smileとi-smartの断熱性能の違いによる光熱費の差を計算してみます。

目次です。光熱費差がどのくらいかだけ見たい場合は、最後の結果をご覧ください。

i-smartではなくi-smileにした経緯

一条工務店の営業さんと話を始めた当初から、コスト面や家づくりの効率性からi-smileで建てようという方針で進めていました。しかし、i-smileの限られた間取りでどれにしようか悩む我々夫婦を見て、営業さんから間取りが変更できるi-cubeやi-smartも考えてみませんか、と見積りをいただきました。

その時の単価を見て愕然としたのですが、i-smartではi-smileと比較して㎡単価で3万円以上、延床105m2だったため建物本体でも330万円以上の開きがありました*1

ざっくりi-smartとi-smileの年間光熱費の差は1万円~大きくても2万円と見積もっていたのですが、これでは60年見てもペイしないな、と考え、i-smileの間取り選びに戻りました。もちろん、i-smartに変更して得られる間取りの自由度やスマートキッチンなども魅力的でしたが、我々夫婦にはそこまで優先する理由にはなりませんでした。

光熱費の比較の背景

ざっくりi-smartとi-smileの年間光熱費の差は1万円~大きくても2万円

と書きましたが、これは複数の一条工務店施主のブログ記事などを見てざっくりこのくらいだろう、と考えた感覚値でした。

じゃあ実際どのくらいなのか試算したことはなく、電気料金は年々上昇傾向にあり意外とペイするのかも?と思ったので、ちゃんと試算してみることにしました。

光熱費差の計算方法

以下の方法で計算します。

  • i-smile, i-smartそれぞれの代表的なUa値から、年間の冷暖房負荷を求める
  • 年間冷暖房負荷を空調機器のCOPで割って冷暖房に必要な年間消費電力量を求める
  • 冷暖房消費電力量のうち、太陽光発電で賄う割合、系統からの買電で賄う割合を計算
  • 太陽光発電で賄う電力は、本来売電で得られるはずの収入がなくなったとして売電単価を、買電で賄う電力は買電単価をかけて、冷暖房電気料金を計算
  • 毎年買電単価は+4.8%増加*2すると考え、60年後までの料金を計算
  • 60年間の積算電気料金を比較

それから、方針として基本的にi-smartに有利なように(光熱費差が大きくなる方向に)計算します。

計算条件

以下の条件で試算することにします。

  • 買電単価は東京電力スマートライフLの昼間・夜間の平均32円/kWhが+4.8%/年で増加
  • 売電単価は10年目までは17円/kWh、卒FIT後は現状の8.5円/kWhが続く*3
  • 年間冷暖房負荷
    • i-smile, i-smartそれぞれのカタログUa値(0.38, 0.25)の年間冷暖房負荷(横浜)を使用*4
    • i-smile:年間暖房負荷8.7kWh/m2、冷房負荷17.6kWh/m2
    • i-smart:年間暖房負荷2.3kWh/m2、冷房負荷17kWh/m2
    • 冷暖房負荷に経年劣化はなし*5
  • 太陽光で賄える割合
    • 晴天の日のうち、日の出(夏6時、冬8時)~蓄電池で放電できる22時までを太陽光で賄う*6*7
    • 晴天の日の割合は、気象庁の東京の降水日数平均値*8から、夏は45.1%、冬は66.7%とする。この日以外は全て買電で賄う
    • 晴天の日に太陽光で賄えない負荷の割合は、時間ごとの室温と外気温の差を時間帯別に積算して算出。夏は4.8%、冬は夜46.0%とする
  • COPは冷暖房ともに3*9
  • 延床面積は105m2(32坪)

結果

上記の条件で60年間の積算をすると以下のようになりました。(表は簡略化のため、後半5年おきしか表示していません)

60年トータルの冷暖房電気料金は、i-smile: 598万円、i-smart: 429万円で、i-smartのほうが169万円安い、という結果でした。この差は一見大きそうにみえますが、冒頭で述べた330万円という建物本体価格の差を埋められません。

また、330万円初期投資が少なく済むということは、借入した場合にはローン金利が安く済みますし、投資に回せば60年の間収益が得られるわけです。

そのため、少なくとも今回計算した横浜の冷暖房負荷の場合では、断熱性能の差による光熱費の差だけではi-smartとi-smileの価格差はペイしない、ということになります。

こちらの記事だとHEAT20 G2とG3で床温度に大きな差はないことから、快適性の向上も同じ全館床暖ならそこまで差がなさそうにも思えるので、i-smileのコストパフォーマンスの高さを改めて感じました。

そして、こんなこと気にしているような自分はi-smileを選択して正解だなあと思います。

*1:2022年2月当時

*2:蓄電池、電気自動車、おひさまエコキュート 特徴と選択法+12月の見学会情報3件 - YouTube

*3:卒FIT後の買取価格は低下が見込まれるがここでは固定

*4:全国各都市でUA=0.38+熱交換換気の住宅を建てた場合の年間暖房負荷! | 菊池組スタッフ日記

*5:他の記事で紹介されている論文だと、i-smileで採用されるEPSは経年劣化なくi-smartのウレタンフォームは経年劣化がありそうだが、考慮しない

*6:実際は曇天でも多少発電するがここでは晴天のみ考慮

*7:蓄電池で放電する時間はロスがあるが未考慮

*8:気象庁 | 季節予報:晴れ日数と降水日数の平年値

*9:長府温水床暖房熱源機のCOPは3.6~4程度と考えられるが低めとしi-smartに有利に計算