SPXLへの投資方法の検討(5) タイミング投資(ナンピン買い)時のリターン分析

前回からちょっと期間が空いてしまいましたが,SPXLをタイミング投資する場合のリターンの分析をします.
また,ここまでで投資方法の分析結果を総括したいと思います.

前回までの記事はこちらです.

タイミング投資のリターン分析
タイミング投資の効果について,以下の記事に投資可能タイミングの頻度の分析結果があります.
この記事によれば,タイミング投資をしても取得単価がせいぜい10%程度減る程度であり,
タイミングを待っている間に早く投資できれば,その期間分の値上がりがあるのであまり効果はない,
と結論付けられています.この内容を確認してみます.



タイミング投資の方法も,いくつかのパターンが存在します.
ここでは,以下の記事を参考にし,直近高値に対して10%以上値下がりが発生した場合に追加投資することにしました.

追加投資額は,上の河童さんブログを参考に,以下としてみます.
追加投資額[万円/営業日] = ( (下落率-8)^1.1 + 12 ) ×0.2
河童さんの設定された追加投資額の半額に設定しています.(手持ち額がそんなに多いわけではないので,1日に投資しすぎると暴落が長引いた場合に手持ち額がなくなってしまうためです.)
この金額を,直近高値から10%以上値下がりしている期間は毎営業日買うことにします.


また,上記のように追加投資額を減らしたとしても,ナンピン買いするためにはある程度手持ち現金がないといけません.
今回は初期投資額500万円のうち,4割である200万円は初期投資することとし,残りの300万円+毎月の貯金から,上記の額を追加投資することにします.

ちなみに,直近高値の"直近"は2週間としました.これは,長すぎると単純に毎月貯金額ができたら即投資するという,積立と変わらない投資となってしまうためです.即投資するわけではなくタイミングを見計らう期間としては長すぎてもいけなくて,急落したところをちゃんと見る必要があります.
(この辺は,手持ち現金がたくさんある場合には結果が変わってきそうですが,今回は条件から外します.)

上記の条件で30年間運用した場合の,資産額+手持ち現金の合計の計算結果です.
SPXL_30y_5parcentile_assets_タイミング投資
上位5%では,SPXLを一括+積立で購入した場合を上回る結果が得られました
(とはいっても7%程です.)
一方,中央値・下位5%では一括+積立した場合に届きません.
また,最大下落幅は58.3%と,他の条件と比較して最悪でした.

この結果から,タイミング投資は,とても運良く暴落が発生したときに購入できてその後値上がりした場合には良いですが,それ以外の場合では,何も考えずに一括+積立していたほうが高いリターンを得られる事がわかりました.
また,当然ながら下落途中に追加投資している可能性もあり,評価額下落リスクは最も高いものになりました.

リスクに対するリターンの上がり幅が少ないので,タイミング投資は,長期投資を前提とする場合には,あまり積極的にとる選択肢ではなさそうだと感じます.
(何らかの理由で投資していない余裕資金があり,暴落時にそのお金がもし使えるなら話は別ですが,暴落時に使えるような余裕資金は,ふつうすでに投資しているような気がします.)

SPXLへの投資方法の分析結果のまとめ
さて,ここまで5回にわたって3倍レバレッジETFであるSPXLへの投資方法について,そのリスクとリターンを,1954年以降の疑似データを使って分析してきました.
結果を以下にまとめておきます.SPXLに加え,仮想インデックス(S&P500)の結果も一応掲載しておきます.
SPXL運用方法別結果まとめ
「上位5%」「中央値」「下位5%」は税引き後の倍率,中央値10年は税引前の結果です.

リターンとして最も結果のバランスが良かったのは,SPXLに一括+積立で投資をした場合でした.下位5%でS&P500に負けますが,それ以外の投資方法の中ではリターンの倍率が最も優れています.
もし,現金を多く保有したい場合に,現金をリバランスのポートフォリオに組み込めて,運用の手間暇がかけれて,かつ最大リターンはそこまで高くなくとも良いなら,70:30リバランスも視野に入るかと思います.

一方,下落率が低くリスクを回避できたのは,50:50リバランスです.
ただし,50:50リバランスは,代償としてリターンは最も低くなっています.

結局の所,リスクを下げればリターンも下がる,リスクを取れば最大のリターンは上がる,という当たり前の結果が得られました.しかしながら,具体的にどのくらいのリターンが見込めるのか,リスクがどの程度あるのか,といった感覚が数値的に得られたこと,運用方法毎の特徴や違いについて改めて理解できたのは良かったです.

今回の分析の結果をもとに,国内+1557.Tで保有している株式を一括でSPXLに移動し,
かつ毎月積み立ての形で買い増しをしていこうと考えています.


今回の分析で用いたJuliaスクリプトをおいておきます.

内容は全然整理できていないのですが,とりあえず動きはします.