SPXLへの投資方法の検討(4) SPXLのリバランス運用時のリターン分析

前回は,SPXLを積立投資した場合のリターンを分析しました.
今回は,SPXLと現金をいずれも保有しておき,適宜リバランスした場合の結果を見てみたいと思います.


リバランスの方法としては,たとえば以下の記事に計算例があります.

リバランスとは,予めSPXLと現金を一定比率で保有しておき,一定の間隔でその比率が崩れたらもとの比率となるように売買することを繰り返す方法です.

リバランスの比率にもいくつかパターンがありますが,今回はSPXL:現金を50:50と70:30の2パターンで,一ヶ月に一回リバランスする前提で計算してみます.また,ゆうさんのブログにも条件が記載されていますが,リバランス時の売却は以下を条件として行います.
「売却単価が平均取得単価以上であること」
また,今回売却が多く発生するため,売却のたびに税金(20.315%)を除くようにしました.

まずSPXLと現金の比率を50:50にリバランスするパターンで計算した結果になります.
SPXL_30y_5parcentile_assets_50_50リバランス時
グラフの線の数が増えていますが,1ヶ月ごとのリバランスによって現金・SPXLいずれの保有額も変動してしまうので,現金・金融資産(SPXL)・合計値をそれぞれプロットしたためです.注目すべきなのは太い点線「合計」の結果です.適宜リバランスすることにより下位5%でも投資元本を下回る期間が短くなっています.一方,30年のトータルリターンは以下のようになり,S&P500の積立投資時の結果より悪くなっています.
 上位5%:11.0倍
 中央値  :4.74倍
 下位5%:2.42倍

つまり,50:50でリバランスすることは,おなじ30年間一定額S&P500を積立するよりリスクも大きくリターンが悪いというものになります.(上記のブログ記事とは結果が異なりますが,SPXL長期データの計算方法の違いかと.)

このリバランスのメリットは,現金50を手元に残すため,実質半額のリスク資産でこれだけのリターンが得られるという点にあると考えています.S&P500に全額積立するのではなく,半額をSPXLに投資してリバランスすれば,運用中は手元に現金を残しつつ,S&P500程度のリターンが得られるとなれば,それはある意味メリットにも思います.

しかし,SPXLにわざわざ投資するのであればより大きいリターンを狙いたいものです.
次に,SPXLと現金の比率を70:30でリバランスした場合の結果です.
SPXL_30y_5parcentile_assets_70_30リバランス時
こちらも太い点線の合計値のグラフを見ると,下位5%の下落幅は大きいものの,30年時点のリターンも大きくなっています.具体的には,30年経過時点のリターンは以下のようになりました.
 上位5%:24.2倍
 中央値 :6.58倍
 下位5%:3.07倍

積立のみでSPXLを運用した場合よりも,上位5%の成績は悪くなりますが,中央値は同等で下位5%の成績が改善されています.つまり,積立によるSPXL運用に対してリスクとリターンを下げた運用だと言えます.当然S&P500よりも期待される(中央値の)リターンは高くなります.

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今回は,SPXLと現金を一定比率でリバランスする運用方法のリターンを分析しました.リバランスをする手法は,現金を手元に残しつつ大きな投資効果が得られる方法,というのが大きなポイントなのかと思いました.積立でいま投資可能な金額を投資する方法より,現金+リスク資産のトーナルが大きくとれるなら,この方法もありかと思います.

一方で,毎月のリバランスの手間が増えてしまうのはデメリットです.積立投資なら一度定期購入を設定してしまえばそれで終わりなので,投資が趣味では無い人には向かない方法かもしれません.

次はタイミング投資についても計算してみます.