SPXLへの投資方法の検討(3) SPXLへの積立投資時のリターン分析

前回の記事では,前々回に作成したSPXLの仮想長期データをもとに,SPXLおよびS&P500の30年間の価格推移を分析しました.また,一括+積立投資のパターンでSPXLおよびS&P500に投資した場合のリターンの分析をしました.
SPXLへの投資方法の検討(1) SPXLの仮想長期データの準備 - 白旗製作所
SPXLへの投資方法の検討(2) SPXLの30年価格推移と初期投資+積立投資時のリターンの分析 - 白旗製作所

今回は,(a)積立のみで投資した場合のリターンを見てみます.また,合計投資金額は少なくなりますが,(b)15年積立+15年定期売却した場合も見てみます.

(a)積立のみで投資した場合

SPXLに積立のみで30年間投資した場合の資産残高を計算し,上位5%,中央値,下位5%をプロットしました.
積立投資の方法は,前回の一括+積立とトータル投資金額を同じとするため,毎月14.7万円としています.

SPXL_30y_5parcentile_assets_積立時

一括+積立のパターンと同様に,30年後にはどのパターンでも投資額を上回る結果が得られます.
 上位5%: 70.9倍
 中央値: 7.30倍
 下位5%: 2.68倍
前回の結果から予想はできますが,すべて積立投資とすることで下位5%の評価額下落率は38.2%となり,一括+積立に比べましになっています.しかしながら,トータルリターンはさらに低下しています.

(b)30年間積立して15年間売却した場合

最初に紹介したかばじろうさんのブログでは,15年間積立運用したあとに15年かけて売却する,といった戦略がありました.こちらも今回分析してみましたので,結果を見てみます.
「SPXL」の長期投資で絶対儲ける方法 | かばじろうの経済塾

条件としては,毎月はじめに(a)と同じく14.7万円を15年間積立し,15年前に購入した株数と同じ株数を15年後から定期的に売却します.SPXLを売却しますので,成績としては売却した合計の現金の積算値を用います.

SPXL_30y_5parcentile_assets_15年積立15年売却時

こちらのグラフでは,実線でSPXLの評価額を,点線で売却して得た現金をプロットしています.
(対数グラフ上にプロットするため,最低でもどちらも10万円は確保するようにしました.)

最初の15年の積立期間は,(a)の積立投資の場合と同様です.そこから15年かけて売却することで,最終的な売却合計額は下位5%でも投資額を2倍上回るものとなっています.単純に15年積立投資して一括売却するとこうはならないので,「売却も定期的にやる」ことの効果が出ているものと思います.
30年間の投資成績をまとめると以下となります.
 上位5%: 26.4倍
 中央値: 7.23倍
 下位5%: 2.08倍

ちなみにこの運用方法を,S&P 500で計算した場合,以下の成績となりました.
 上位5%: 7.06倍
 中央値: 4.43倍
 下位5%: 2.46倍

下位5%の場合若干S&P 500が良好ですが,この程度の差に留めつつ,大きくリターンを見込める方法です.15年後から15年間,毎月2倍~最大30倍の額を獲得するために今積み立てる,という発想でいうと,悪くない運用方法な気がします.

次回はリバランスした場合の結果を見てみたいと思います.