詳細を書いていこうと思います.
電力計測部の回路は以下の図のようになっています.
まず試験負荷としてドライヤーとスイッチを接続し,延長コードの1箇所にCTを取り付けます.
CTの負荷抵抗RLは100Ωとします.これで30A→1Vに変換できます.
ドライヤーは定格1200Wなので,大体12Arms→0.4Vrms→1.13Vp-pか,
これよりも小さいくらいの電流が検出できるはずです.
CTの負荷抵抗値について、秋月電子のHPやデータシートでは負荷抵抗RL=10Ωとしか記載がありませんでしたが,
以下のページを見ると300Ωまでは結合係数もよく計測できそうでした.
CTの最大スペックの80Aまでは使わないでしょうし,30Aで0.1Vだとあまり電気を使っていない時の精度が悪化しそうですので、なるべく負荷抵抗の値を上げて検出感度を高くしたいところです。
一方で、非線形な負荷だと電流のピークが通常の正弦波の倍とかになることもありますので負荷抵抗を大きすぎるのも考えものです。ここでは100Ωとしました.
参考:カレントトランス (秋月 SR-3702-150N/14Z) の特性測定 - ラジオペンチ
これを電流制限抵抗10kΩを経由してRaXino(RX62N)のアナログ入力AN0に入力します.
元は交流波形なのでADコンバータには0V中心に正負の電圧がかかりますが,
マイコンのアナログ入力には保護ダイオードがADコンバータ前に入っているため,
これで負電圧はカットし半波のみ検出することにします.
この回路を以下の写真のようにユニバーサル基板上に実装しました.
以下が負荷抵抗両端の波形です(200kHzのデジタルフィルタつき).
大体1.025Vp-pになっており,
きれいに電流を検出できていそうなことがわかります.
下がADコンバータの入力波形です.
元の波形と比較して負側の電圧が保護ダイオードのVfの-0.5V程度でカットされていることがわかります.
これをADコンバータで1ms周期で100サンプル取得した結果が以下のデータです.
ADコンバータの電源は3.3V(この場合デバッガの電源を使ったので3.1Vくらい)で,分解能は12bitですから,
1.025/2/3.1*4096=677くらいのピークが読み取れており,大体一致しています.
このデータ列を全波整流したものとして積算しRMSを求めれば電流の実効値が求まります.
具体的には,
①データ列の2乗和平均の平方根を求める
②2乗の面積を2倍するためsqrt(2)をかける
③AD値→電圧→電流の変換係数(99/4096)をかける
と,10.5Aとなり,概ね正しい電流の実効値が得られます.
これにAC100Vをかければ瞬時電力になります.
以上の内容をマイコンに算出させて,RS232Cで送出させるプログラムを作成してやれば,電力計測部分は完成です.
次は可視化部分を書いていきます。