NextCloud+CloudBeatsで出先から自宅の音楽データを再生 (1)概要

これまで手持ちの音楽をクラウドにアップロード・再生するために,YouTubeMusic(YTM)を使っていました.YTMは多少使いづらいところはあるものの,アップロードした曲に限ってはバックグラウンド再生が可能であり,手持ちのAndroidで比較的快適に使えていました.
しかし,先日iPhone 13 miniに乗り換えたところ,同じYTMでもバックグラウンド再生が中断される挙動となっていることに気づきました.
体感ではバックグラウンドで3~5曲ほど聞くと再生が中断されてしまいます.また,バックグラウンド再生からYTMアプリに戻るだけでも再生を中断して,有償プランを勧めてきます.
これではとてもじゃありませんが,音楽を楽しみながらスマホを使うということはできません.いくら無料とはいえ,アップロードした曲すら連続再生できないのはかなり困りました.
 
有償プランは月々約1,000円です.たった1,000円,と思う人もいると思いますが,個人的には馬鹿にならない金額だと思います.さらに、私が行いたいのは手持ちの音楽の再生であり,YTMが持っている他の楽曲の再生やレコメンドなどの機能は不要であることから,不要なものに1,000円も払いたくない,という気持ちもあります.

そもそも,私がYTMを使い始めたのは,その前身のGooglePlayMusicがサービス終了してしまって,引っ越しが最も容易だったからという理由でした.GooglePlayMusicでも手持ちの音楽を聴くためだけに使っていたので,それならば,手持ちの曲だけを再生できる環境に移行しようと考えました.

どうも調べると便利なアプリがあるようで,クラウドストレージにアップロードした曲をストリーミングで再生することが可能なようです.実際に使っている人もいます.このようなアプリを使えば,YTMのようなサービスに依存せずとも手持ちの音楽を楽しめそうです.


しかし,今度はクラウドストレージの利用料金の問題が発生してきます.手持ちの音楽は200GB程度ありますが,これをアップロードするにはGoogleDriveだと毎月380円かかります.このくらいなら支払ってもよいのですが,自宅にわざわざ大容量のストレージを用意して使っているのだから,それが使えないか考えてみます.

いくつか手段の候補があります.
1つは自宅にVPNアクセスして,SMBなどで音楽を再生することです.上に紹介したEverMusicはSMBが音楽ソースに選択できるようなので,この使い方ができます.VPNを張る必要がありますが,OpenVPNなどでは指定のWi-Fiに接続したときはVPNをOFFできるようなので,外でも家でも同じように使えることが期待できます.

もう一つは,自宅にWebDAVやOwnCloudなどのWEBによるファイル管理サーバを立ててそれにアクセスする方法です.自宅からドメイン名でサーバにアクセスできれば,こちらも家の内・外問わず同じように使えるはずです.

事前に検証したところ,EverMusicでのSMBを使った接続にうちの環境では難があったのと,アプリのUIがCloudBeatsのほうが好みであったため,後者のサーバを建てて運用することにしました.

サーバのH/Wとしては録画サーバ+ストレージとして使っていたRaspberry Pi 4Bを転用することにします。
ファイル管理サーバには前から使ってみたかったOwnCloudの、フォークプロジェクトであるNextCloudを使います。NextCloudの方が後発ですが、開発コミュニティ形成が上手くいっておりOwnCloudよりも勢いがあるようです。
また、DNSサーバには設定が簡単なUnboundを使い、既に使用中のダイナミックDNS(MyDNS)のドメインRaspberry Piに対応させます。

長くなりましたが、まとめると以下の図のような構成の音楽ストリーミング再生環境を構築します。次回から、構築手順について紹介します。

NextCloudBeats.png