トコジラミへの対処法

トコジラミ

我が家に住み着いていたトコジラミの死骸

トコジラミ(南京虫、ベッドバグ)という虫をご存知でしょうか。

トコジラミは、主に寝具等の陰や隙間に住み着き、

夜間に人の皮膚から吸血するタイプの虫です。

過去にかなり広まり、殺虫剤によってほぼ根絶やしにされたようですが、

近年海外で一部の殺虫剤に対し抵抗性を持つトコジラミが再度流行しているようで、

国内でも被害が多く出ています。

トコジラミに吸血されると、トコジラミの唾液によるアレルギー反応で強い痒みを生じます。

また、トコジラミは主に人間が寝静まった夜間に吸血するため、

睡眠が阻害され、不眠などの症状に繋がることがあります。

トコジラミは、ホテル等に宿泊した際に衣服やカバン、靴の溝等に付着し侵入します。

トコジラミは様々な隙間に隠れるため発見が難しく、かつ繁殖能力が高いため、

発見されたときには大繁殖してしまっていた、ということがよくあり、

完全な駆除は困難と言われています。

ここでは、私が半年にわたりトコジラミと格闘し駆除した経験から、

自分でできるトコジラミへの対処法をピックアップしてまとめます。

なお、トコジラミをなるべく効果的に駆除するには、記事に記載した方法を

なるべく並行して長期的に継続実施することが肝要です。

トコジラミへの対処は、中途半端にすると効果がなかったり被害を拡大する恐れがあります。

自分の手に終えない場合は業者や専門家へ相談するようにしてください。

1. 発見したトコジラミを処理する

1.1 生きているトコジラミの処理

トコジラミを発見したら、紙パック式の掃除機で吸いとります。

紙パックはジップロック等で密封して廃棄します。

トコジラミは、スプレー式の殺虫剤を使用しても物によっては直ぐには死にません。

一部の殺虫剤には抵抗性を持ち、今後の世代交代でさらに抵抗性が増すことも考えられます。

また、スプレーの風でトコジラミを吹き飛ばして逃がす可能性があります。

掃除機であれば確実に吸い取り圧力で潰すことができるため、掃除機で処理することをおすすめします。

トコジラミを確実に殺すという意味ではスチームクリーナー等で高温の水蒸気を当てるのも手です。

このタイプの機器は家庭にはあまりありませんが、スチームアイロン等で代用できます。

1.2 巣の処理

トコジラミが目に見えるところにいた場合、近くに巣(コロニー)を作っている可能性が高いです。

発見した場所やその近くを探してみましょう。洋室ならマットレスの裏、隙間、木製ベッドの隙間等、

和室なら布団の裏、畳の裏等が代表的な住処です。

巣を見つけたら、巣に群がるトコジラミを全て掃除機で除去します。

巣には恐らく卵もありますが、卵は粘着して取りにくく、殺虫剤も効かないため、

スチームアイロン等で高温にして殺虫します。

糞(黒い斑点のようなもの)は、水で濡らした後に雑巾等で拭き取ります。

卵や幼生のトコジラミは小さく隙間の奥に潜り込んでいるため、駆除しきれない場合が多いです。

可能であれば、巣となっていたマットレス、ベッド、布団等は廃棄してください。

廃棄できない場合、スチームクリーナーで高温洗浄し、ビニールにくるんでください。

2. トコジラミに噛まれないようにする

トコジラミに餌を与え続けている限り、彼らは繁殖を続けます。

できるだけ吸血されないようにしましょう。

2.1体に付着させない

着る服は毎日洗濯しましょう。その後、高温設定で乾燥機にかけておきましょう。

可能であれば、すべての服をスチームアイロンにかけ、

保管時にはジッパーのついたビニール保管袋に入れておきます。

2.2寝床に侵入させない

トコジラミはつるつるした面は登れません。マットレス・布団をビニールやポリエステル製の

つるつるしたものにしておき、他の家具や壁から離しておくことで、侵入を防ぐことができます。

私は登山用のマットレスと寝袋を持っていたので、それでしばらく寝ていました。

また、寝床外の虫の侵入を防ぐために、ベッドの足にビニールを巻いておいたり、蚊帳を使うのも効果的です。

3. トコジラミの住み着く場所を無くす

まず、家のカーペットなど隅々まで掃除機がけを徹底しておきます。

次に、家にある隙間という隙間に、「バルサンまちぶせスプレー」を噴霧します。

今のところこのスプレーの薬剤ならトコジラミに効くようです。

トコジラミは布や木材の隙間を好みますので、

タンスやクローゼットの中など、隙間の有りそうな箇所を集中して噴霧します。

畳やタイルカーペット等の下には、「虫コロリアース粉剤」を散布します。

薬剤の有効期間は約1ヶ月です。できればこれより短い頻度で再度撒いておくのがおすすめです。

4. トコジラミを部屋に出入りさせない

トコジラミの外部からの侵入を防ぎ、かつ被害を広めないため、

部屋からの出入りをさせない様にする必要があります。

部屋出入口ドアの隙間に両面テープを貼っておくと、逃げ出すトコジラミを捕まえる事ができます。

また、部屋に入る前に自身でカバンや衣服に虫が付着していないか確認します。

バスルームなどで行えば、万が一ついていた場合でも逃げられることがなく対処できます。

現状、トコジラミの多くは海外から持ち込まれたもののようです。

海外に滞在する際、また念のため国内でも安めのホテルに宿泊する際は、

寝床にトコジラミの痕跡が無いか確認しておくと良いでしょう。

Appendix. トコジラミの性質あれこれ

・黒い材質のものを好み、白い材質のものを避ける。

・木や布などの材質を好み、ビニールなどの材質を避ける。

・つるつるした場所は登れない。隙間を好む。

・CO2、熱、体臭がトコジラミを誘引する(ターゲットを認識して吸血しに来る)

トコジラミは繁殖能力が高く1頭の妊娠メス成虫から2ヶ月で110頭まで繁殖する。

トコジラミが最も活発に行動するのは深夜2~3時(暗ければ昼間でも活動する)

・卵は殺虫剤では死なない。卵は孵化まで2週間かかる。

 →つまり、掃除機と殺虫剤で駆除しても、卵が処理できていなければ2週間後にまた被害が出る可能性がある。

・孵化した後、5段階の幼虫期間を経て成虫になる。

 幼虫の各段階で脱皮を行ない成長する。吸血できていないと脱皮ができない。

トコジラミは合成ピレスロイド系殺虫剤に抵抗性を持つ。他の殺虫剤にも抵抗性を持つものが確認されている。

参考文献

[1]奥村防虫科学株式会社 トップページ > トコジラミ(南京虫)駆除事例

http://www.okumura64.co.jp/Bed_Bugs.html

[2]Wikipedia - トコジラミ

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%82%B3%E3%82%B8%E3%83%A9%E3%83%9F