電気衣類乾燥機の日中利用によるコスト削減効果

最近、洗濯の運用を変えました。我が家は縦型洗濯機+電気衣類乾燥機を使っていますが、これまで、

夜に洗濯 → 乾燥機で回せるものは回し、残りは手干ししてサーキュレーターON

という運用をしていました。共働きで日中は時間が洗濯の時間がないですし、翌日必要な保育園・小学校の洗濯物もあるので夜のうちに回す必要があるためです。

ただし、電気衣類乾燥機はなかなかの電気食い。春・秋など空調を使わず蓄電池が余っている日でも乾燥機を回すとすぐ底をつく状態でした。

そんな中、Looopでんきから、行動変容型上げDR実証の案内が来ました。

looop.co.jpこれの実証①ですね。

そもそもDR(デマンドレスポンス)とは、 電力の需給バランスをとるために、需要家(家庭、事業所)が電力の使い方を調整する仕組みのことです。上げDRは、DRのうち、電力が余りそうな時間帯に電気を使う調整を行うものです*1

太陽光発電が増加していると、春・秋のなど空調を使わない時期の昼間は電気が余ることになります。どうせ余るならその時間帯に使ってもらって、他の時間帯の電力を昼に寄せる行動変容を促すのが上げDRの目的になります。

一応実証は抽選だったのですが、申し込んだら当たったので、夜間の電気食いだった衣類乾燥機を昼に回すことで、上げDRに対応しつつコスト効果が出るかも?と考え、検証してみました。

この記事の目次は以下です。

1. 検証条件

今回は、 夜間の衣類乾燥機を昼使用に回した時のコスト効果を検証します。

ただし、翌日必要なものは夜間に洗濯しておく必要があるため、洗濯を以下のように2回に分けます。

  • 1回目:夜間は手干し+翌日必要なもののみ洗濯して手干しします。夜間はサーキュレーターだけなので電気はそんなに消費しません。
  • 2回目:翌日朝、残りの洗濯物を洗濯し、乾燥機に入れて回します。手干しする時間はさすがにありませんが、洗濯機を回す+洗濯終わったら乾燥機に入れてON、くらいならできそうです。

これを行ったときの、消費電力量、水使用量、光熱水費を比較し、昼の電力使用量が増えて上げDRになるか、光熱水費が下がってコスト効果があるか、を確認します。

衣類乾燥機を昼に回しているので、上げDR効果は必ずでるとおもうのですが、一方で洗濯を2回行うためその分の水+電力使用が増えます。これをペイできるかを考えます。

計測方法として、消費電力量は、洗面所の分電盤に自作電力量計*2を設置しているので、それで洗濯機と乾燥機の電力量を計量します。

水使用量は、屋外の水道メーターの検針値を洗濯前/後で読んで、使用量を推測します。

実証期間は10/30~11/19でしたが、仕事が忙しく全然取り組みができなかったので、実際は11/10~19の間で日中が晴れ予報かつ翌日在宅勤務ができそうな4日間程度実施して平均値で効果検証しました。

2. 実際に使った電力・水使用量

2.1 電力使用量

計測したのは、洗濯機と衣類乾燥機の1回あたりの電力使用量です。

洗濯機1回の電力使用量は、実測では82Wh~83Wh程度でした。

洗濯機(日立 BW-V70A)の取扱説明書*3を見ると、定格消費電力は290Wでした。洗濯時間30分で、そのうち1/2を定格運転時間だと仮定すると、1回あたり72.5Whの電力使用量となり概ね合致しているのがわかります。今回は簡単化のために、洗濯機1回を80Whとします。

また、衣類乾燥機1回の電力使用量は、実測で2.16kWhでした。

衣類乾燥機(日立 DE-N50WV)の仕様*4を見ると、定格消費電力は強で1.18kW。乾燥時間1時間50分だと2.16kWhとなり、ほぼドンピシャです。乾燥機を昼にすることで、夜2.16kWhを昼に回せるものとします。

2.2 水使用量

洗濯機を1回余計に回した際の水使用量を計測します。

洗濯機の取扱説明書には、50L標準コースで使用水量は90L/回、と記載がありました。ただ、この仕様と合致しているか、少な目設定の32Lコースの場合どうなるのかは不明瞭だったので、実測してみました。

4日間、2回ずつの洗濯で、32~58Lまで水量設定の量を変更して水道メーターで計量したところ、平均的に以下のような水使用量でした。

設定水量 実測使用水量
58 L 125 L
50 L 107 L
42 L 103 L
32 L 100 L

ちなみに、洗濯中に洗面所やキッチンで水を使うことは多々あるので、それ込みの使用量を計測して、後でその影響を除いた値が上記です。

使用水量は仕様に対して結構多めになっていることがわかります。 洗濯以外の使用の影響を完全に除けていない可能性はありますが、洗濯以外の水使用が少ない場合でも多い場合でも同様に毎回多かったので、仕様よりは多めに水を使う、と思ったほうが良いでしょう。

今回は、洗濯は2回に分けるので、設定水量は少な目の32Lとし、使用水量は100Lあると見込むことにします。

3. 結果

計測結果から、昼に衣類乾燥機を回すことで、電力・水使用量が以下のように変化しました。

  • 夜→昼に需要を変更できた電力量 2.16 kWh/日
  • 追加の洗濯による水使用増 100 L/日
  • 追加の選択による電力使用増 80 Wh/日

それぞれを料金換算(昼間 17円/kWh、夜間31 円/kWh、水道 324.5円/㎥*5)すると

項目 コスト変化
電気代削減(乾燥機夜→昼移行) -30.24円/回
水道代増加(洗濯1回) +32.45円/回
電気代増加(洗濯1回) +1.36円/回
トータル +3.57円/回

結果:コスト減…かと思いきや、まさかの「やや増加」でした。

電気代は確かに下がる、しかし 水道代が増えて相殺、という結論になりました。*6

乾燥機の電力消費が高いのでそれを昼に回すこと自体に効果はあるのですが、洗濯回数を増やしてしまうとコスト効果はなくなるということになります。

なお、CO2使用量の変化も計算してみます。夜間電力は0.485kg-CO2/kWh*7、昼間は太陽光発電のためCO2排出量無し、水は0.679 kg-CO2/㎥*8とすると

  • 電力削減1.0088kg-CO2
  • 水使用増0.0679kg-CO2
  • トータル:0.941kg-CO2の削減

となりました。衣類乾燥機を昼に回すことで、CO2排出量は確実に抑えられていると言えそうです。

4. 考察

コスト効果も出てデコ活としてCO2排出量削減もできるはず、と思っていた衣類乾燥機の日中利用ですが、なんとコスト効果はないという結果でした。なぜこうなったのかを考えてみます。

(1) 洗濯を2回に分けた

まあ、これが大きな理由の1つです。手間を減らすために仕方なかったとはいえ、洗濯回数を増やせばその分洗濯機稼働コストが増えるので、電気料金削減の効果は薄れます。

洗濯自体を翌日に回せる日があれば、そういった日のみ行う、のはありだと思います。

(2) 水道料金が高い

洗濯を1回回したところでコスト増は知れてる、と思っていました。しかし、洗濯1回で100Lとそれなりに水を使ううえ、最近は電力と同じく水道料金も値上げされており、それなりにコストがかかります。また、水道料金は今後も上がっていく方向のようです*9

光熱水費を減らすなら、洗濯のモードを変えるとか、節水もする必要があると認識できました。

(3) 昼夜の電気料金単価の差があまり高くない

夜間電力を、11月の平均31円/kWhとしましたが、昼の太陽光発電17円/kWhと差があまり大きくないことから、昼に回すことのコスト削減が少なかったのも要因だと思いました。

冬本番で夜間単価が上がってくる(33円/kWh以上)と、コスト効果が出る日もあるかと思います。ただ、洗濯2回にする前提なら、コスト効果はあまり多くはなさそうです。

5. 今後の方針

今回の結果を踏まえて、衣類乾燥機の運用は以下の運用に戻すことにしました。

夜に洗濯 → 乾燥機で回せるものは回し、残りは手干ししてサーキュレーターON

洗濯を増やすとコスト効果がなくなるため、たとえCO2排出量増になろうと夜間に回すことにします。

週末なら洗濯を日中にできる日は多いのですが、そもそも土日はシーツやデリケート衣類を洗濯する日、としており、日中の洗濯物が増えてしまうため、普段の洗濯物は夜間に回すスタイルは当分固定にします。

子供が大きくなって、必ず翌日使う、みたいな洗濯物がなくなってきたら、日中に洗濯・乾燥を回すことを考えようと思います。

直近にできる上げDRとしては、エコキュートの昼沸き上げはもう既にやっているので、ほかの電力使用量の多い炊飯とか時間のかかる料理をなるべく昼移行するなど、手間を増やさず省エネ・コスト減にできる方法を別途考えたいと思います。




関連記事:自作した電力量計について、以下の記事で解説しています。

dededemio.hatenablog.jp

dededemio.hatenablog.jp

以下のようなCTセンサーとRaspberry Pi 4B、マイコンを使っています。

*1:下げDRは、逆に電力が不足する時間帯に電気を使わないよう抑制する

*2:RaXino+RaspberryPiで家の電力見える化

*3:日立 全自動洗濯機(BW-V70A)

*4:日立 衣類乾燥機 DE-N50WV(乾燥容量 5kg)

*5:横浜市の水道料金表は、横浜市水道料金・下水道使用料表(口径20mm)に記載。我が家では21-40㎥/月の使用量なので、上下水合わせて295円/㎥+消費税で324.5円/㎥が単価となる

*6:横浜市

*7:エリア別時刻別平均電力CO2排出原単位から東京エリアの21~翌2時の11月の平均CO2排出量原単位を計算

*8:上水道・下水道における温室効果ガス排出量の実態より、ちょっと古いですが神奈川県の2017年の上下水道合計のCO2排出量原単位をピックアップ

*9:横浜市水道局 - 水道料金の改定について